
計画地は、北九州市小倉南区<平尾台>のふもとにあります。<平尾台>は、山口県の秋吉台と並ぶ日本有数のカルスト台地で、
天然記念物・国定公園・県立自然公園に指定されています。この田園の広がる自然性豊かな土地に[自然性を活かした住宅地]ができないか・・・ということが、開発の出発点でした。
1 プロジェクトの目指したもの
私たちは「景観」と「管理」にポイントを置き計画を進めました。「景観」に関しては、もとある自然を生かし、建物と町並みの調和を図れる計画としました。「管理」に関しては、街全体を共有の資産としてとらえ、住民が協力して良好な住環境を維持・発展させることを前提に管理規約を制定しました。
2 開発の骨子
目指したものは、共通の考え方(街の理念)に基づいた、住人が共同で街を守り育てるコミュニティづくりです。その目的を実現するために、4つの骨子を定めました。
第1は、自然との共存です。これまでの宅地造成で常識的に行われていた[壊す行為]を少しでも減らそうと考えました。樹木の測量、測定を行い残す木を選定しました。また、通常では、宅地の広さを決め長方形に区切ってゆきます。今回は「自然の木と住宅との良い関係をいかに作るか・・・」といった方向から宅地の形状を定めてゆきました。
第2は、『森の街憲章』の制定と『管理組合』の組織化です。共通の理念のもとに街を守り育てるために、『森の街憲章』と、『ガーデンヴィレッジ平尾台管理規約』を制定しました。そして、居住者による積極的な景観の形成・保全を主な目的として《ガーデンヴィレッジ平尾台管理組合》を発足させました。
第3は、管理組合と行政の密接な連携です。北九州市と管理組合とで公共施設に関する管理協定(覚書)を結びました。公共施設であるフットパスと公園の底地については市に帰属します。公園内施設や植栽等を管理組合が管理することにより、公私両空間において、居住者中心による自由度の高いきめの細かな管理が可能となりました。
第4は、コミュニティを育てアイデンティティを豊かにする仕組み、仕掛け作りです。
仕組みとしては、日本の戸建団地では珍しいケースですが、管理費を徴収し、専門のガーデナーの指導のもと、街並みの育成に努めています。
仕掛けとしては、保存樹を主体とした、宅地・道路・公園のレイアウトプラン、および街の装置が挙げられます。視覚的なアクセントとして、井戸ポンプ、ベンチ等を配し、ノスタルジックな雰囲気を演出しました。
3 そして現在
街が動き始めました。そこには、街のコミュニケーションの中心となる公園を育て、近隣の家に集い語り合う住民の姿がありました。一つの大きな家族のように、街全体が息づいています。街が美しく発展できるか否か、それは住民の意識と日々の努力にかかっています。
《ガーデンヴィレッジ平尾台》
